「他人にワキガだと言われたが自分では臭くない」
「自分がワキガか気になる。簡単に判別する方法は無いのか」
といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
最近の日本社会では、清潔感への意識がかなり高まり、「スメハラ(スメル・ハラスメント)」という言葉があるよう、他人の体臭が問題になる場面があります。
そんな中で、実際はワキガでは無いのに、自分の体臭がコンプレックスになってしまう人も居るようです。こういった症状は「自臭病(じしゅうびょう)」と言われることもあります。
では、本当にワキガであるかを知る方法はあるのでしょうか。
ワキガかどうかを判断する方法として確実なのは、専門家の診断を受けることです。
しかし、いきなり病院に行くのをハードルに感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ワキガかどうかを自分で判別するためのチェック項目をお伝えいたします。
まずは自己診断をすることで、ワキガかどうかを確認してみてください。
記事の後半では、ワキガへの対策もお伝えいたしますので、是非とも参考にしてください。
目次
0.ワキガとは
ワキガとは「腋臭症(えきしゅうしょう)」という疾患のことを言います。
ワキガの原因は「汗腺(かんせん)」と「表皮菌(ひょうひきん)」が関係しています。
人間は汗をかく生き物ですが、この汗を出す汗腺には、実は2つの種類があります。
1つは「エクリン腺」、もう1つは「アポクリン腺」です。
ワキガの原因となるのは、「アポクリン腺」の方です。
エクリン腺は全身にあり、さらさらした汗を流します。
一方アポクリン腺は、ワキや乳輪、陰部など、身体の一部にあるものです。
アポクリン腺から出る汗は脂質を含み、臭いの元となる成分を含んでいます。
この脂質を含んだ汗が、表皮の菌と反応し、独特の臭いを発生させます。
これはもともとフェロモン物質であり、生物学的には必要な機能です。
しかし、このアポクリン腺の量が多かったり、発汗の量が多かったりすると、臭いが強くなり、他人にとっては不快な臭いとなることがあります。
これがワキガ(腋臭症)です。
1.ワキガのセルフチェックシート
ワキガを判断するのは難しいので、専門家に診てもらうことが良いでしょう。
しかし、本当に自分がワキガなのか、まずは自分で確認したいという方も多いのではないでしょうか。
ここではワキガかどうかをセルフチェックするための項目を用意しました。
10個の項目のうち、自分が何個当てはまっているか数えてみてください。
ワキガ セルフチェックシート
1.耳垢が湿っている方だ
2.肌着が黄ばむことがある
3.脇毛が多い
4.親がワキガだ
5.汗をたくさんかく
6.ストレスが多いと感じる
7.肉や脂っこいものをよく食べる
8.乾燥肌というよりはオイリー肌(脂性肌)だ
9.脇毛に白い粉がつく
10.お酒を良く飲む、タバコを吸う
何個の項目が該当しましたか?
結果は以下となります。
該当項目5個以下
5個以下の人はワキガの可能性が低いと言えます。
仮にワキガだったとしてもかなり軽度なものでしょう。
小まめにワキ汗を拭くだけでも充分な対策になりえます。
むしろ自臭病にならないように、自分の体臭を気にしすぎない方が良いでしょう。
該当項目6~8個
6~8個該当する人はワキガの可能性がやや高めと言えます。
ワキガであったとしても、臭いは弱いものでしょう。
入浴時にワキなどを入念に洗うことや、運動後に制汗剤を使うなどすることで、対策できることも多いでしょう。
どうしても気になる場合は、専門家のカウンセリングを受けることをおすすめいたします。
該当項目9~10個
9~10個該当する人はワキガの可能性がかなり高いです。
もしかしたら強い臭いが発生しているかもしれません。
専門家に相談し、適切な対処をしてもらうと良いでしょう。
チェック項目の内容については下記で詳しくお伝えいたします。
1-1.耳垢が湿っている方だ
アポクリン腺は、実は耳の中にも多く存在しています。
そのため、アポクリン腺の量や出る汗に脂質が多い場合、耳垢がベタベタと湿っている場合があります。
耳の中でそういったことが起きている場合、ワキや他の部位でもアポクリン腺が多い可能性があります。
そのため、耳垢が湿っているかどうかが一つの目安となります。
1-2.肌着が黄ばむことがある
アポクリン腺から出る汗は脂質が多いため粘り気があり、洋服に多くつくと黄ばむことがあります。
そのため、ワキと直接触れている部分が黄ばんだり茶色く変色している場合、汗の量や汗に含まれる脂質の量が多い可能性があるため、ワキガ臭の原因となる場合があります。
1-3.脇毛が多い
アポクリン腺は毛穴にあるものです。
そのため、毛量(毛穴の数)が多い場合、同様にアポクリン腺も多いことが考えられます。
アポクリン腺が多ければ、汗の量も増えるので、ワキガの目安となります。
1-4.親がワキガだ
実はワキガは遺伝するものです。
アポクリン腺の量や、汗に含まれる脂質の量は体質によるものだからです。
ワキガは「優性遺伝」であることが分かっています。
そのため、一方の親がワキガの遺伝子を持って入れば、約50%の確率で遺伝されます。
両親ともにワキガの場合は、かなりの高確率で遺伝している可能性があります。
1-5.汗をたくさんかく
多汗症であるかどうかではなく、単純に汗を多くかくかどうかの問題です。
汗を多くかく人は、エクリン腺からも多くの汗を分泌していることが考えられます。
アポクリン腺がある所にはエクリン腺もあるので、多くの汗をかく場合、エクリン腺から流れた汗が、アポクリン腺から出ている脂質の多い汗も一緒に流してしまう場合があります。
エクリン腺が多量に流れ、それと一緒にアポクリン腺の汗が流されていくと、広範囲に脂質の多い汗が広がり、ワキガ臭を増長させる原因となる場合があります。
1-6.ストレスが多いと感じる
人が汗をかく時は、体温を下げるための「温熱性発汗」と、緊張などの精神的なストレスを感じる際の「精神性発汗」の2つがあります。
緊張している時間が長かったり、精神的な負荷がかかりやすい状況に居る場合、汗の分泌が続き脇の下などが湿った状態が続きます。
汗がずっと出ていれば、表皮菌との反応も続くため、ワキガ臭が増加する傾向があると言えます。
1-7.肉や脂っこいものをよく食べる
アポクリン腺は脂質やたんぱく質などを老廃物として排出します。
お肉などの脂っこい食事が多いと、過剰摂取された脂質やたんぱく質が汗に多く含まれることとなり、よりワキガ臭が強くなってしまう場合があります。
日々の食事が欧米よりになっていると、ワキガ臭が強くなってしまう場合があります。
1-8.乾燥肌というよりはオイリー肌(脂性肌)だ
おでこなどがすぐにテカるようであればオイリー肌かもしれません。
オイリー肌な人は皮脂の分泌が多く、皮脂をエサとする表皮菌が増加している場合があります。
ワキガの原因は、アポクリン腺から分泌されている汗と表皮菌であるため、表皮菌が増加しているだけでも、ワキガ臭を強くしてしまう場合があります。
オイリー肌は遺伝によるものですが、食事や生活習慣を見直すことで改善される場合もあります。
1-9.脇毛に白い粉がつく
ワキ毛に白い粉がつく経験がある人は注意が必要かもしれません。
制汗剤を使用していないにも関わらず、ワキに白い粉がついている場合は、アポクリン腺から出た汗の成分が結晶化している可能性があります。
結晶になるということは、汗がそこに長時間留まっていただけでなく、汗に水分以外の成分(脂質など)が多く含まれている可能性があります。
汗が長時間留まっているだけでも表皮菌と反応し、臭いの原因となりえます。
1-10.お酒をよく飲む、タバコを吸う
アルコールやニコチンは臭い成分の塊です。
普段は体臭が無いような人でも、お酒を飲んだりタバコを吸うと体臭が強くなります。
また、アルコールやニコチンには汗腺を刺激する作用があります。
体臭を気にするのであれば、控えることをおすすめいたします。
2.ワキガは対策・解消することができる
ワキガだとしても、臭いの強さには違いがあります。
臭いが弱い場合は、簡単な対策で充分に臭いを弱めることもできるでしょう。
また、臭いが強い場合でもワキガは解消することが可能だと言われています。
専門家に診てもらい、ワキガであると診断された場合においても、様々な対処法が考えられます。
ここではお手軽な対策から根本的な対策まで、ワキガ対策についてお知らせいたします。
2-1.お手軽な対策方法
自分の臭いが強いとは思わないけど、少し臭いに気を使いたい場合は、ここでお知らせする方法がおすすめです。
・こまめにワキを拭く
・制汗剤を使う
・ワキ汗パッドを使う
こまめにワキを拭く
アポクリン腺から出た汗と表皮菌によってワキガ臭が発生しているため、原因である汗を小まめに拭う方法です。
さっと汗を拭くだけなので、簡単に行うことができます。
濡れタオルやウェットシートなどを使用すれば、汗をしっかり拭きとることができるでしょう。
また、除菌効果のあるものを使用すれば、表皮菌を減らすことも可能でしょう。
注意点としては、除菌効果のあるものをあまり使いすぎてしまうと、表皮を守っている表皮菌まで減らしてしまう場合があります。
肌トラブルや、他の雑菌を増やしてしまう原因となることも考えられるので、気を付けましょう。
制汗剤を使う
ワキガの原因の一端が汗にあるのであれば、それを抑制してしまえば良い、という方法です。
最初に思い浮かぶ制汗剤はスプレータイプのものでしょう。
スプレータイプであれば、服の中に腕を入れる必要も無いので、非常にお手軽に対策を行うことができます。
しかし、スプレータイプでは制汗の効果時間が非常に短いため、こまめに使用する必要がある場合があります。
持続効果を気にする場合は、ロールオンタイプがオススメです。
ロールオンタイプであれば、長時間に及ぶ制汗効果が得られます。
制汗成分を直接塗り、そこに留まるようになっているため、シャワーで洗い流すまで効果が持続する場合がほとんどです。
臭いについて効果的かつ簡単に対策したい場合は、使用するのも良いでしょう。
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デンマーク発のデオドラント。発汗をしっかり抑えてくれるので、ワキガ臭も軽減してくれるでしょう。
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ワキ汗パッドを使う
ワキの汗染みを防ぐためのアイテムですが、汗をしっかり吸うため、汗と表皮菌をしっかりと引き離します。
そのため、臭いを発生させる反応が起きないため、臭いの予防となります。
運動をする時などではワキ汗パッドの許容量を超えてしまうでしょうが、日常生活を送る上では充分に汗を吸ってくれます。
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男性の汗でも安心な3層構造のシートで、汗をしっかり吸収してくれます。
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2-2.根本的に解消する方法
お手軽な対策とは違い、根本的に体臭を解消するための方法をご紹介します。
効果の出やすさに個人差はありますが、条件が合えば体臭を軽減することができる方法です。
・生活習慣を見直す
・ワキ毛を脱毛する
・アポクリン腺を無くす
生活習慣を見直す
生活習慣を変えることで、汗に含まれる成分を変えようとするものです。
汗に含まれる臭いは、日々のストレスや睡眠不足、飲酒や喫煙などによって強くなる場合があります。
強いストレスや睡眠不足はホルモンバランスを崩し、独特の臭いを発する場合があります。
これは「疲労臭」と呼ばれることもあります。
また前述した通り、過度な飲酒や喫煙は強い臭いのものとなるため、これらを控える必要があります。
生活習慣を変えるだけで臭いが軽減されれば、費用はゼロです。
効果のほどは体質によって大きく左右されますが、人によっては非常に効果的に臭いを解消することができるかもしれません。
脇毛を脱毛する
脇毛はそもそもフェロモンを散布するためにあるものです。
フェロモンとは臭いを持つものなので、フェロモンを散布するということは、臭いを広く届けるということになります。
つまり脇毛を無くすことで、ワキガなどの臭いを軽減することが期待できます。
脇汗が分泌されると、脇毛に付着することで脇に留まります。
汗が蒸発することで湿度が高まり、表皮菌などが活発になりやすい環境を作ります。
汗と表皮菌がそれぞれ多くなれば、それだけ臭いも強くなりやすくなります。
脇毛がなくなれば、汗は脇に留まることが無いため、表皮菌と反応しずらくなります。
このワキ毛を無くす方法として適しているのが、脱毛です。
医療レーザー脱毛であれば、5回ほどの施術でほとんどのムダ毛を無くすことができる場合が多いです。
医療レーザー脱毛は、毛穴の奥深くにある発毛細胞を破壊するものです。
そのため、永久脱毛効果が期待でき、脇毛を効率良く無くすことができるでしょう。
脇の環境を変えたいのであれば、脇毛脱毛をすることをおすすめいたします。
ワキ毛を無くすために、ムダ毛を抜くことはしないでください。
ムダ毛を指やピンセットなどで抜いても、ムダ毛はまた生えてきます。
また、ムダ毛を抜く時の刺激が毛穴の負担となるため、肌トラブルの誘発につながります。
ムダ毛を抜くことに良いことは無いので、行わないようにしてください。
アポクリン腺を無くす
実は、そもそもアポクリン腺を無くす方法があります。
臭いやワキガの元凶であるアポクリン腺が無くなれば、体臭について気にする必要は無くなります。
アポクリン腺を無くす方法は、「剪除法」と「ミラドライ」があります。
剪除法は、ワキの皮膚を切開し、アポクリン腺を削ぐ方法です。
身体に負担がかかるので、術後は少し安静に過ごす必要があります。
ミラドライは、脱毛のようにマイクロ波を使い、アポクリン腺を焼く方法です。
汗腺の活動を停止させるので、切らずにワキガを解消することができます。
どちらもクリニックで行われているものですが、1時間~2時間ほどで済む方法であり、ワキガを根本的に解消することができます。
3.まとめ
ワキガとは、アポクリン腺から出る汗と、表皮菌の反応によって起こるものです。
ワキガかどうかを判断するには、医師に診断してもうらことが一番ですが、いきなりクリニックに行くことに抵抗を感じる方も居るでしょう。
ワキガのセルフチェックをするには10個の設問のうち、いくつが該当するかを確認する必要があります。
1.耳垢が湿っている方だ
2.肌着が黄ばむことがある
3.脇毛が多い
4.親がワキガだ
5.汗をたくさんかく
6.ストレスが多いと感じる
7.肉や脂っこいものをよく食べる
8.乾燥肌というよりはオイリー肌(脂性肌)だ
9.脇毛に白い粉がつく
10.お酒を良く飲む、タバコを吸う
これの該当個数が多ければ多いほど、ワキガの可能性が高まります。
しかしワキガは対策することや解消することも可能です。
特に、根本的に解消したい場合は、「ミラドライ」を受けると良いでしょう。
ミラドライであれば、身体を切ること無く、アポクリン腺の機能を停止させることができます。
自分がワキガかどうかを確認し、仮にワキガであったとしても、自分に合った方法で対策・解消してください。
【参考】
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180213-OYTET50059/
https://www.hando-cra.com/check/
https://www.maria-cl.net/medical/wakiga/check/
https://www.kyoritsu-biyo.com/shinryou/wakiga/check.php
https://books.google.co.jp/books?id=6YR1CwAAQBAJ&pg=PA52&lpg=PA52&dq=%E7%9A%AE%E4%B8%8B%E8%84%82%E8%82%AA+%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%85%BA&source=bl&ots=3PSoO3o75Z&sig=GboeZM6xDsN9zYD-5rHbopUUm4k&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjLksa8udPeAhXbFIgKHZAEBRAQ6AEwCXoECAkQAQ#v=onepage&q=%E7%9A%AE%E4%B8%8B%E8%84%82%E8%82%AA%20%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%85%BA&f=false