脱毛について調べている時に、「毛周期」という言葉を見かけたことはありませんか?
その毛周期という言葉と一緒に、「脱毛は毛周期における成長期の毛にしか効果がありません」なんて書かれていることがほとんどではないでしょうか。
「成長期っていつ?」「そもそも毛周期ってどんなもの?」そういった疑問をお持ちになる方も多いのではないでしょうか。
実は脱毛と毛周期には密接な関係があり、脱毛をするにあたって、どうしても毛周期を気にしなければなりません。
脱毛をしようとすると安くない金額が動くのだから、色々なことをしっかり理解した上で脱毛に臨みたいですよね。
そんな方のために、今回は毛周期について取り上げてみました。
毛周期について理解していただき、脱毛についての不安を解消してください。
目次
1.毛周期とは
簡単に言ってしまえば、毛周期とは体毛が生え変わる周期のことです。
体毛は一定の期間で、成長し、抜け落ち、また成長する、を繰り返します。
この体毛のサイクルを「毛周期」と呼びます。※
毛周期には段階があり、毛の成長とともにその段階が移行していきます。
ここではその段階と毛の成長についてご紹介します。
※参考:「あたらしい皮膚科学」
(https://www.derm-hokudai.jp/jp/shinryo/pdf/1-09.pdf)
1-1.退行期
これまで毛を成長させていた細胞分裂が停止し、毛と毛乳頭(毛に栄養を与える細胞)の結合が弱くなるのが退行期と呼ばれる時期です。
毛根が退縮していくことで毛乳頭から毛が離れて、徐々に表皮へ移動していきます。
毛穴の萎縮も弱くなり、毛を引っ張るなどすると簡単に抜けてしまう状態です。
毛が抜けると、バルジ領域という所から毛を作るための発毛因子、毛包幹細胞が出されます。
1-2.休止期
毛が寿命を迎える休止期は、毛が毛乳頭から完全に切り離されて抜け落ちます。
これは次の毛を生やすための大切な準備期間です。
毛包幹細胞が毛穴の下に移動しながら細胞分裂し、毛の元となる毛母細胞を作ります。
1-3.成長初期
成長初期には、毛母細胞は毛乳頭から栄養をもらい、細胞分裂を繰り返し徐々に毛としての成長を始めます。
毛母細胞が活発になるため、どんどん毛は伸びていきます。
1-4.成長後期
成長後期になると、表皮の上に現れどんどん伸びていきます。
成長しきった毛はそれ以上伸びることはなく、一定の期間を過ぎると細胞分裂が止まることで退行期に入り、新たなサイクルに入ります。
2.毛周期のペースは様々
毛周期のサイクルについて触れましたが、全身の毛が同じ早さで周期を繰り返しているわけではありません。
体の部位によって異なるのはもちろんですが、同じ部位の中でもいくつかのグループに分かれており、同じタイミングで成長期になる毛は全体の20%程度と言われています。
ここでは毛の種類ごと、部位ごとに毛周期のペースについて見ていきます。
2-1.毛の種類
毛は生えている部位によって、縮れ毛であったり直毛であったり、太かったり細かったりと、その毛質は様々です。
しかし、毛は大きく分けると「性毛」と「無性毛」の2種類になります。
「性毛」とはワキやデリケートゾーン、ヒゲや胸毛など、思春期になると生えてくる毛のことを指します。
主な特徴として、毛が太くて固い、生える方向がバラバラ、といったものが挙げられます。
毛が太くて固いせいか、毛周期は長い傾向にあります。
対して「無性毛」とは髪の毛など、子供の頃から生えている毛全般のことを指します。
特徴は、毛が細くて柔らかい、毛の流れる方向が同じ、などです。
こちらは逆に、比較的周期が短いことが多いです。
2-2.各部位の毛周期の目安
では、各部位の毛周期はどのようになっているのでしょうか。
以下に乗せる表はあくまで目安であり、実際の毛周期は個人差に大きく左右されます。
(参考:https://dione-salon.jp/511/)
部位 | 毛周期 |
顔全体 | 6ヶ月~1年6ヶ月 |
ワキ | 1年~2年6ヶ月 |
胸 | 8ヶ月~1年6ヶ月 |
腹 | 8ヶ月~1年6ヶ月 |
背中 | 8ヶ月~1年6ヶ月 |
お尻 | 8ヶ月~1年6ヶ月 |
腕全体 | 6ヶ月~1年6ヶ月 |
脚全体 | 6ヶ月~1年6ヶ月 |
ビキニライン | 1年~2年 |
男性器・肛門周り | 1年~3年 |
前項でお話しした通り、性毛の毛周期が長い傾向にあるのが分かるかと思います。
※厳密に言うと右半身と左半身でも毛周期は変わります。心臓からの距離が違うことで毛乳頭に送られる血液の量に差が出ることが原因と考えられています。
3.毛周期と脱毛の関係
ここまで毛周期についてご紹介してきましたが、毛周期という言葉は「脱毛用語」と言えるほどに脱毛と密接な関係にあります。
なぜそこまで切り離せない関係なのでしょうか。
3-1.技術的な関係
脱毛には医療レーザー脱毛とニードル脱毛(針脱毛)の2種類があります。
どちらも毛乳頭やバルジ領域などを破壊することで脱毛効果を得ようとするものですが、その仕組みにはいくつか弱点があります。
まず、毛穴の場所を特定する必要があります。
毛穴の場所が分からなければ、毛乳頭もバルジ領域も攻撃できません。
毛穴は0.1~0.2mm程度であり、場所や状態によっては肉眼で見つけることが困難です。
そこで、医療レーザー脱毛の場合は黒色に反応するレーザーを使い、ニードル脱毛の場合は生えている毛を探すことで、毛穴の位置を特定します。
次に気にしなければならないのは毛周期の段階です。
冒頭でもお伝えしましたが、脱毛サイトを見てみると「成長期の毛にしか脱毛効果がない」と書かれていることがほとんどです。
毛穴の位置を特定するだけなら、毛穴に毛が残っている退行期でも問題ありませんが、脱毛効果を出そうとすると、そうもいきません。
医療レーザー脱毛もニードル脱毛も、毛に熱を通すことで毛乳頭などにダメージを与える仕組みとなっています。
毛が繋がっていなければ熱を伝えることができず、毛乳頭やバルジ領域に刺激を与えることができないため、毛と毛乳頭が繋がっている時期に施術しなければなりません。
その毛と毛乳頭が繋がっている時期こそが、成長期なのです。
現在の技術では成長期の毛を利用することでしか脱毛効果を期待することができないため、毛周期を考えることが重要となります。
3-2.より効果的に行う期間の関係
脱毛が成長期の毛にしか効果を出さないということは、前回の施術時には退行期や休止期にあった毛が、しっかりと成長期に入ってから脱毛をする必要があります。
しかし、毛周期についてはまだ解明されていないことも多く、その人の毛周期を完璧に把握することはできません。
※バルジ領域についても、2000年に発見された最新研究です。
しかし目安を設けることは可能です。
各部位の毛周期の早さを考えると、顔は6週~8週、体は8週~10週は間をあけるべきでしょう。
あまりに早いペースで施術をしても、他の毛が成長期に入らなければ効果は薄いものになってしまいます。
また別の目安として、「脱毛した部位の毛が生え揃ったかを確認する」という、自分の目で確認する方法もあります。
施術回数がまだ少ない場合は、脱毛後、徐々に毛が伸びてきたり濃くなっていったりします。
しかし、一定期間を過ぎると長さや濃さが一定のものとなり状態が安定します。
これが生え揃った状態です。
毛が生え揃うということは、別の毛が成長期に入ったことを意味しまので、前回照射時から確実に次の段階に移行しているということになります。
このように、毛周期を考えなければ効果的に脱毛を行うことは難しいため、脱毛をするにあたり、毛周期への理解はどうしても必要となるのです。
4.まとめ
毛周期とはどういうものか、まとめると以下になります。
・毛が生え変わるサイクルのこと
・毛の成長に合わせて段階がある
・毛周期のペースは様々で同じタイミングで成長期になるのは20%程度
また、毛周期と脱毛が密接な関係になる理由として、毛と毛乳頭が繋がっていないと現在の技術では脱毛効果を出せない、というものがあります。
そして、毛と毛乳頭が繋がっている状態が成長期のみであるため、「脱毛は成長期の毛にしか効果が無い」という文言を見かけるわけです。
毛周期というものが分かれば、不安なく脱毛に臨めるかと思います。
ご自身で納得した上で、脱毛にチャレンジしてみてください。